Part 2 TTに参戦するレーシングマシン「SG2」

ノートンがマン島TTで戦うことになるのは、エンジンこそイタリアのバイクメーカー「アプリリアRSV4」に搭載されている1000ccV型4気筒エンジンだが、フレームやスイングアームといったシャシーはノートンが独自に開発している。「スーパーバイクTT」と「シニアTT」に、市販車をベースとしないバイクで参戦しているのはノートンだけとなる。

かつてのノートンが発表した「フェザーベッドフレーム」は、まるで羽毛ベッドのように乗り心地がいいと言われ、トライアンフのエンジンを積んだ「トライトン」、ヴィンセントのエンジンを積んだ「ノーヴィン」といった「ノートンフレームに他社製エンジンを搭載した名車」を数多く生み出した。「SG2」のフレームをあえてオリジナルにしたのは、そんな往年の歴史を辿っているかのようだ。
フロントのサスペンションにはTTX25 FGRと呼ばれるレーシングフォークを、リアには世界最高峰のロードレース「MotoGP」や「SBK」のトップチームも多く採用するオーリンズの「TTX」を装備。ブレーキは前後ともスウェーデンのISR製をセット。ホイールはBSTのカーボン製でまとめ、軽量化を狙っている。

スタイリングにも注目しよう。1950~60年代のレーサーを思わせるメタリックな輝きを放つフェアリングに、赤でまとめられたスポンサーロゴと、テールカウルに大きく描かれたユニオンジャックが輝く。クラシカルとモダンが同居したような全体的なデザインは「新しいのにどこか懐かしい」と感じさせるもので、最新の国産スーパースポーツバイクが台頭する中でひときわ存在感を放っている。
また、並列4気筒車が多いTTにあって、V型4気筒が奏でる独特のエキゾーストノートも特徴のひとつ。SG2が走る姿を見ていると、「どこにもない、自分たちだけのバイク。しかも最高のパフォーマンスのバイクを作る」というノートンのメッセージが聞こえてくるようだ。

 


エンジンはアプリリア製水冷V型4気筒を搭載。V4エンジンならではのエキゾーストノートは、それを聞くだけでノートンとわかる独自性に溢れている。フレームワークも美しい。


オーリンズ製TTX25 FGRレーシングフォーク、BST製カーボンホイール、ISR製6ポッドキャリパーでまとめられた足まわり。ライダーによれば安定感が高く、良好なハンドリングだという。


1950~60年代レーサーのアルミ製カウルのような輝きとスタイリングを持つSG2。テールカウルに描かれたユニオンジャックは、ノートンブランド復活の象徴だ。


レースウィーク中もノートンのピットはフル稼働しており、エンジンを下ろす重整備も頻繁に行われる。メカニックたちのマン島TTに懸ける情熱を窺い知ることができる。


往年のレーサーを彷彿とさせるアルミ風フェアリングは、TTの中でもかなり目立つスタイリングだ。シルバーにレッドという色使いもクール。素材はアルミではなくFRP製。

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